試験直前! 腎臓病療養指導士なるにはガイド2020 ②

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おすぎ

主に調剤薬局の薬剤師へ向けて、腎臓病療養指導士を取得するための方法を指南します。その記事の後編です。取得にあたっては、①実務経験、②講習会、③研修、④認定試験の4要件を満たす必要があります。前編までは①実務経験と②講習会を説明したので、後編からは③研修と④認定試験を説明していきます。

腎臓病療養指導士の要件(つづき)

③研修

研修内容

施設基準を満たす自施設または他施設(他施設の場合は日本腎臓学会認定教育施設に限る)で、下記1~4に相当する研修を10症例以上、かつ各職種ごとに2症例以上行うこと。

  1. 腎臓内科医師による保存期CKD患者の外来見学
  2. 看護師による保存期CKD患者の療法指導の見学または実施
  3. 管理栄養士による保存期CKD患者の栄養指導の見学または実施
  4. 薬剤師による保存期CKD患者の服薬指導の見学または実施
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研修こそ、他の療養指導士にはない特殊な要件です。いわゆる自験例ではなくて“他者の指導の見学”です。複数の職種にかけあって指導を見学し、その後解説していただかなければいけません。施設の風土によってはハードルが高いと言えるでしょう。
自施設が「施設基準」を満たすか否かによって、研修の要件が異なります。ここは大変わかりにくいですが、重要なポイントです! まず、自施設が基準を満たすことを確認する必要があります。

研修の施設基準
  1. 日本腎臓学会が認定する腎臓専門医の常勤医または非常勤医、または10年以上の会員歴を有する日本腎臓学会所属の常勤医がいること。
  2. 腎臓病患者の内科外来診察および患者教育・指導が恒常的に行われ(透析実施の有無は問わない)、看護師、管理栄養士、薬剤師の3職種が在籍すること(常勤・非常勤は問わない)。
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薬局薬剤師なら、自施設が基準を満たさないことは明らかです。「看護師、管理栄養士、薬剤師の3職種が在籍すること」という基準は、事実上、病院勤務者に限定されてしまいます。
自施設が基準を満たす場合、自職種を除く3職種(薬剤師なら腎臓内科医・看護師・管理栄養士)の指導を10症例見学し、各職種につき2症例ずつ、計6枚(2症例×3職種)のレポートを提出します。症例は保存期CKDの患者さんに限られ、透析導入後は認められません。職種が異なれば同じ患者さんの症例でも構いません。したがって、レポート作成だけに着目すれば、見学すべき患者さんは最低2人です。

他施設での研修
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一方、自施設が基準を満たさない場合は、「日本腎臓学会認定教育施設」である他施設で見学することになります。自施設で研修する場合の「施設基準」とは異なるので、混同しないように気をつけましょう!
教育施設のリストは、日本腎臓学会のウェブサイトに公開されています。全ての教育施設が外部研修を受け入れているわけではないので、日本腎臓病協会のウェブサイトには、受入れを公表している教育施設のリストが公開されています。4職種のうち一部しか受け入れない教育施設もあるため、研修依頼にあたってはよく確認しましょう!
他施設で研修した場合は、自職種を含む4職種(腎臓内科医・看護師・管理栄養士・薬剤師)の指導を10症例見学し、各職種につき2症例ずつ、計8枚(2症例×4職種)のレポートを提出します。薬剤師でも、教育施設で薬剤師の服薬指導を見学しなければいけません。
なお、いずれの職種でも指導者の要件はありません。ですから、腎臓内科医は腎臓専門医の資格を有していなくても構いません。また、指導者側も見学の意図を把握しておかないと、レポートにそぐわない指導になってしまいます。あらかじめ指導者にレポートの書式を伝えておき、ポイントを押さえていただくとよいでしょう。
研修終了後は『腎臓病療養指導研修証明書』を作成し、認定試験の応募時に提出します。指導者全員の氏名を記入するほか、研修責任者たる腎臓内科医の自署が必要です。特に他施設で研修した場合は遺漏のないように注意しましょう!

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自施設が基準を満たさず、他施設の受入れ先が見つからない場合は、例外規定があります。それが「症例研修e-learningによる認定試験用代替研修」です。上記ウェブサイトに公開されている7症例から3症例を選択し、その指導動画を視聴したレポートを2症例提出します。1症例につき指導動画は4本(腎臓内科医・看護師・管理栄養士・薬剤師の各1本)あるので、計8枚(2症例×4職種)のレポートを提出することになります。なお、研修料は2万円で、代替研修の申込み後、所定のレポート用紙が送られてきます。
代替研修はeラーニングなので、コネのない教育施設に研修を申し込むより、気楽に受けられるでしょう。薬局薬剤師にとってはハードルが低いのでオススメです!

④認定試験

認定試験応募時の提出書類
  1. 看護師・保健師、管理栄養士、薬剤師いずれかの免許証のコピー
  2. 『腎臓病療養指導業務活動証明書』(代替研修の場合は不要)
  3. 『腎臓病療養指導士認定のための講習会 参加証明書』のコピー
  4. 『腎臓病療養指導研修証明書』(代替研修の場合は不要)
  5. 研修レポート一式(代替研修の場合は提出済)
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全ての要件が揃って上記書類を提出すると、認定試験を受けられます。認定試験は年1回実施されます。例年、1月第4週の日曜日に、東京都品川区の五反田にある「TOC GOTANDA MESSE」で開催されます。受験料は2万2000円です。なお、2020年度は少々遅い2月7日に予定されています。
出題基準は明示されていませんが、講習会の2019年度版テキストには以下のように記載されていました。

認定試験の出題基準
  • CKDの療養指導に関する職種横断的な基本知識、および療養指導の実地経験を問うものとする。
  • 他の領域の高度専門知識は必ずしも必要としない。
  • 『CKD診療ガイド2012』『医師・コメディカルのための慢性腎臓病 生活・食事指導マニュアル』を習得しているレベルが目安。
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また、講習会の2020年度版テキストには、参考書として以下の4書籍が例示されています。

認定試験の参考書
  • CKD診療ガイド2012
  • 医師・コメディカルのための慢性腎臓病 生活・食事指導マニュアル
  • エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2018
  • 腎臓病療養指導士のためのCKD療養ガイドブック2020
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明示されていませんが、当然、講習会のテキストも試験範囲でしょう。
『CKD診療ガイド2012』『医師・コメディカルのための慢性腎臓病 生活・食事指導マニュアル』『エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2018』は、いずれも日本腎臓学会のウェブサイトから無料でダウンロードできます。電子書籍に抵抗がなければ、わざわざ有料の書籍版を購入する必要はありません。なお、『CKD診療ガイド2012』の書籍版は絶版になっているようなので、古本を入手しなければなりません。
『腎臓病療養指導士のためのCKD療養ガイドブック2020』は、このブログをアップした時点で未発売です。2020年秋に発売予定で、模擬問題が掲載されると聞いたのですが……新型コロナウイルス感染症流行の影響で延期されたのでしょうか!?

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ここで、2019年度の認定試験のあらましを暴露しちゃいます(笑)
時間は150分、問題数は120問で、全て5肢マーク式でした。約20問は症例問題で、その他は正誤問題でした。計算問題も約10問ありました。おおむね1択でしたが、約30問は2択でした。問題用紙は回収されてしまいました。
途中退場できますが、私を含めてほとんどいませんでした。時間的にはタイトに感じられました。症例問題を読んで考えるのがしんどいし、計算問題にも結構手こずりました。“正しいものを1つ選べ”とか“誤っているものを2つ選べ”とか、解答方法も煩わしかったです。
保存期CKDに関する①診断、②管理・治療、②腎代替療法、③生活指導、④栄養指導、⑤服薬指導がバランスよく出題されていました。配点や合格点は非公表です。領域毎の足切りが設定されていたかもしれません。禁忌肢はなさそうでした。
CKDステージを判断する問題、または判断したうえで管理目標値などを解答する問題が多く見受けられました。したがって、検査値からCKDステージを判断する練習は繰り返しておきましょう。そして、CKDステージと関連づけて管理目標値を暗記しておきましょう。
講習会のテキストで半分以上はカバーできそうですが、細部を含めて隅々まで暗記する必要性を感じました。また、前掲の参考書からも少なからず出題されていました。しかし、合格を目指すだけなら、講習会のテキストを完璧に仕上げれば十分でしょう。
2019年度の認定試験には413人が応募し、405人が合格しました。合格率は驚異の98%超! こんなに合格を乱発すると、資格の質が担保できるか心配になりますが……とにかく、認定試験まで漕ぎ着ければ、ほぼ確実に取得できる資格と言えます。

【模擬問題】腎機能低下時に減量を必要とするものを2つ選べ。
a セレコキシブ(セレコックス)
b シタグリプチン(ジャヌビア)
c アメナメビル(アメナリーフ)
d アジスロマイシン(ジスロマック)
e メトトレキサート(リウマトレックス)

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印象的だった問題のモデルです。薬剤師なら難易度を推し量れると思いますが、この問題はさほど易しくありません。腎排泄性薬剤か否かを個別に暗記しておかなければ解答できません。薬剤師にとっては常識でも、看護師・管理栄養士にとってもそうでしょうか? 同レベルの問題はわずかでしたが、立場を変えて見れば、管理栄養士にとっては常識でも、薬剤師とっては難しい問題があったでしょう。
やはり薬剤師の鬼門は栄養指導ではないでしょうか? NSTに関わっていなければ、馴染みの薄い領域です。私は試験勉強では重点的に取り組みました。

⑤学会加入

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他の療養指導士なら、所定の学会(例えば心不全療養指導士は日本循環器学会)の会員であることも要件です。年会費を支払わなければいけないので、資格取得にかかる総額は、薄給の病院薬剤師にとってはかなり痛手です(苦笑) その点、腎臓病療養指導士には学会加入の要件がないのでありがたいです。
ただし、認定を更新するためには、各学会の年次集会や研修会に参加しなければなりません。非会員でも、参加費として年会費に近い出費(例えば日本腎臓学会学術総会は非会員8640円)は生じてしまいます。学会の“資格商法”なので仕方ないですが……

合格発表

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おすぎ

例年、合格発表は4月1日です。試験終了から丸2か月なので、かなり待ち遠しかったです。ウェブ上で受験番号を確かめる――などという手に汗握る操作はなく、『認定証』が自宅に郵送されてきました。添え状すらなく、本当に認定証1枚のみ。1年がかりで取り組んできたわりに、呆気なく取得完了となりました。
日本腎臓病協会のウェブサイトで公開されている『腎臓病療養指導士名簿』に、氏名・職種・所属施設名が掲載されます。認定試験の会場で、掲載可否の同意書を提出させられました。ブログの記事作成にあたってアクセスしてみたら――う~ん、以前より人数と情報が明らかに増えている!? 実際、私は一部の情報を掲載拒否にしたはずですが、いつの間にか全部載っていますね(困惑)
認定証に記載されているとおり、有効期間は5年間です。次は更新のための活動が始まります……

薬局薬剤師が腎臓病療養指導士を取得する方法

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薬局薬剤師は、保存期CKDの患者さんに対する服薬指導を頻繁に行っていても、かつては腎臓病療養指導士の要件を満たせませんでした。しかし、毎年のように要件の緩和が図られてきた結果、現在では取得可能な道が開かれました。具体的には、全てeラーニングで突破する作戦です!
実務経験も研修も、eラーニングによる例外規定が設けられています。これを利用すれば、4年目以上の薬剤師なら所属施設にかかわらず、認定試験を受けられます。正規の要件より3万円余分にかかってしまいますが、取得してみる価値はありませんか!?

薬剤師が腎臓病療養指導士を取得するメリット

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職場次第の査定や手当を別とすれば、腎臓病療養指導士を取得するメリットは特にありません。他の療養指導士と同様に、腎臓病療養指導士を取得したからといって、何か特別な業務ができるわけではありません。また、上位資格である腎臓病薬物療法認定薬剤師の要件にもなっていないので、キャリアアップにも直結しません。単なる技能の証明に過ぎません。
強いて言えば、高血圧・循環器病予防療養指導士を取得する際、腎臓病療養指導士であれば講習等の要件を免除されるメリットがあります。
それでも私は取得してよかったと感じています。保存期CKDの患者さんに対して、他職種がどのようにアプローチしているか理解できるようになったことは、私の服薬指導でも大変役立っています。しょせん自己満ですけどね……(笑)

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