持参薬のデノタスは中止してよいか? ②

<strong><span class="has-inline-color has-pink-color">ピーコ</span></strong>
ピーコ

血清補正カルシウム10mg/dLで持参薬のデノタスを中止していいか、おすぎに訊いてみたら、例によって話が長くなってる😅 記事を分けたから続きをどうぞ!

おすぎの回答(つづき)

ビタミンDは骨格筋に作用して転倒抑制効果をもたらす

<strong><span class="has-inline-color has-indigo-color">おすぎ</span></strong>
おすぎ

ところで、持参薬のデノタスに関して、私も困ったケースに遭ったことがある。RANKL阻害剤が投与されてないのに、デノタスが単独投与されてた!
ランマーク・プラリアの薬歴を聴取したものの、患者さんはデノタスの処方医療機関で「何も注射を打ってない」とおっしゃる。「何か注射を打ってるが、何かはわからない」という回答はよく聴くけれど、注射されたこと自体を忘れたなんて!?
デノタス単独投与の疑惑は、処方医療機関に問い合わせると藪蛇かもしれず、いままで追究を躊躇してた(苦笑)
デノタスの正体がOTCの新カルシチュウD3で、薬価収載されてる唯一の天然型ビタミンD製剤。その代替薬として処方してるのではなかろうか? 1錠あたりデノタスの薬価は17.7円、新カルシチュウD3の定価は38~44円で、圧倒的にデノタスのほうが安い。
でも、医師があえて天然型ビタミンDを処方したいケースなんてあるのだろうか?

日本骨粗鬆症学会・日本骨代謝学会・骨粗鬆症財団『骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2015年版』より改変
http://jsbmr.umin.jp/pdf/GL2015.pdf
<strong><span class="has-inline-color has-indigo-color">おすぎ</span></strong>
おすぎ

『骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2015』には“臨床試験のメタ解析では、活性型ビタミンD製剤の腰椎骨密度上昇効果、椎体および非椎体骨折抑制効果が、天然型ビタミンDに比較して優れていることが報告されている”と記述されてる。活性型ビタミンDのほうが天然型ビタミンDより高力価なのだから、当然だろう。
刮目すべきは転倒抑制効果。ビタミンDには骨格筋に対する作用もあり、ガイドラインには“天然型ビタミンD製剤については、メタ解析により有意な転倒抑制効果が認められている”と記述されてる。しかし、骨密度上昇効果・骨折抑制効果とは異なり、天然型ビタミンDに対する活性型ビタミンDの優越性は触れられてない。

Bischoff-Ferrari HA et al., Fall prevention with supplemental and active forms of vitamin D: a meta-analysis of randomised controlled trials. BMJ 2009;339:b3692より
<strong><span class="has-inline-color has-indigo-color">おすぎ</span></strong>
おすぎ

ガイドラインに引用されてるメタアナリシス(Bischoff-Ferrari 2009)を読んでみた。転倒抑制効果について、高用量の天然型ビタミンD3(700~1000IU)に対する活性型ビタミンDのリスク比は1.04(95%信頼区間0.84~1.31)だった。論文は“Active forms of vitamin D do not appear to be more effective for fall prevention than 700-1000 IU of supplemental vitamin D ”と締め括ってる。
ただし、他のメタアナリシスでは天然型ビタミンDに対して活性型ビタミンDに優越性を認めたり(Richy 2008)、活性型ビタミンD自体に転倒抑制効果を認めなかったり(Kalyani 2010)、結果の一貫性に乏しい。転倒をエンドポイントとする活性型ビタミンDのRCTが少ないせいだろう。言い換えれば、天然型ビタミンDのほうがエビデンス面で頑強。

  • Bischoff-Ferrari HA et al., Fall prevention with supplemental and active forms of vitamin D: a meta-analysis of randomised controlled trials. BMJ 2009;339:b3692 [PMID:19797342]
  • Richy F et al., Differential effects of D-hormone analogs and native vitamin D on the risk of falls: a comparative meta-analysis. Calsif Tissue Int 2008;82:102-7 [PMID:18239843]
  • Kalyani RR et al., Vitamin D treatment for the prevention of falls in older adults: systematic review and meta-analysis. J Am Geriatr Soc 2010;58:1299-310 [PMID:20579169]
<strong><span class="has-inline-color has-indigo-color">おすぎ</span></strong>
おすぎ

天然型ビタミンDの活性化は、血清カルシウムが一定に維持されるよう、副甲状腺ホルモンによって調節される。活性型ビタミンDはこの調節機構を受けないから、過剰投与時に高カルシウム血症を生じやすい。
血清カルシウム上昇時は、カルシウムの尿中排泄が増加するため、腎結石・尿管結石の原因となる。『骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2015』には“血清カルシウム値や尿中カルシウム/クレアチニン比(0.3~0.4以上が高カルシウム尿症の目安となる)に対する注意が必要である”と記述されてる。ホーネル・フルスタンの添付文書でも“尿中カルシウム値、尿中クレアチニン値を定期的に測定し、尿中カルシウム/クレアチニン比が正常域を超えないよう投与量を調節すること”と注意喚起されてる。
要するに、活性型ビタミンDには潜在的な高カルシウム血症・高カルシウ尿症のリスクがある。それなのに、転倒抑制効果は天然型ビタミンDより優位かどうかわからない。天然型ビタミンDにも副作用があるとはいえ、漫然と投与するには安全だろう。OTCで販売されてるくらいなのだから。

デノタスをアルファカルシドールで代替する場合

<strong><span class="has-inline-color has-indigo-color">おすぎ</span></strong>
おすぎ

幸い、ピーコの施設にも私の施設にもデノタスが院内採用されてる。では、持参薬のデノタスが尽きた後の代替薬はどうすればよいか? 鹿児島県薬剤師会のDI実例集には、以下のように記載されてる。

鹿児島県薬剤師会『Dekon Imo通信 第21号』より
https://www.kagoshima-shp.jp/wp-content/uploads/2018/05/dijitsurei21.pdf

まとめ

日本透析医学会『慢性腎臓病に伴う骨・ミネラル代謝異常の診療ガイドライン』より
https://www.jsdt.or.jp/tools/file/download.cgi/1336/慢性腎臓病に伴う骨・ミネラル代謝異常の診療ガイドライン+.pdf
<strong><span class="has-inline-color has-indigo-color">おすぎ</span></strong>
おすぎ

血清補正カルシウム10mg/dLは、施設基準値内なので高カルシウム血症ではない。プラリアの治験でも、基準値内であれば全例にデノタスが投与された。したがって、持参薬のデノタスをただちに中止する必要はないじゃないか。引き続き血清カルシウムをモニターしていこう。
血清補正カルシウムの管理目標値は、原疾患によって異なる。例えばCKD-MBDでは8.5~10.0mg/dL、副甲状腺機能低下症では8.0~8.5mg/dLが推奨されてる。高カルシウム血症・尿症を防止するため、施設基準値の低めに設定されてる。いずれにせよ、RANKL阻害剤の薬歴が未確認なので、デノタスの必要性を評価すべき時期だろう。

日本骨代謝学会・日本骨粗鬆症学会・日本歯科放射線学会・日本歯周病学会・日本口腔外科学会・日本臨床口腔病理学会『骨吸収抑制薬関連顎骨壊死の病態と管理:顎骨壊死検討委員会ポジションペーパー2016』より
https://www.jsoms.or.jp/medical/wp-content/uploads/2015/08/position_paper2016.pdf
<strong><span class="has-inline-color has-indigo-color">おすぎ</span></strong>
おすぎ

デノタス内服中の患者さんは、その意義をきちんと理解しなくちゃいけない。さもないと、受診・入院時に適切な対応がなされず、重篤な副作用が発現するおそれがある。
RANKL阻害剤は、低カルシウム血症のほかに顎骨壊死を惹起しうるため、歯科受診時には必ず申告しなくちゃいけない。調剤薬局におけるデノタスの服薬指導は極めて重要!

<strong><span class="has-inline-color has-pink-color">ピーコ</span></strong>
ピーコ

患者さんには聴いたよ! 例によって覚えてなかったよ。やっぱり血清補正カルシウム10mg/dLを超えたら止めるべきだよね。プラリア打ってるかちゃんと調べるべきかなぁ? 調べたら、そんなに神経質にカルシウムをフォローしなくていいもんね😃
デノタスが何なのかちゃんと理解してなかったけど、天然型ビタミンが入ってるんだ! だから、腎不全の人は気をつけろって添付文書に書いてあるんだね😃

コメント

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