国試は仕事に役立つのか? 病院薬剤師が評価してみた。~循内編~ ①

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<strong><span class="has-inline-color has-indigo-color">おすぎ</span></strong>
おすぎ

今年度の薬剤師国家試験は2月20日・21日の2日間にわたって施行され、3月24日14時に合格発表の予定です。薬学生なら誰しも、勉強中にこんな疑問を抱いたことがあるのではないでしょうか?

「こんな問題、本当に仕事に役立つのだろうか?」

そこで、循環器内科・腎臓内科を担当している私が、病院薬剤師の視点で評価しました! 昨年度(第105回)の過去問の中から、循環器内科・腎臓内科に関連した問題をピックアップし、私の偏見で難易度と重要度をランク付けしてみました。

必須問題

問7 エフェドリンのIUPAC命名法

【解答】3 【科目】化学 【難易度】3/3 【重要度】0/3

<strong><span class="has-inline-color has-indigo-color">おすぎ</span></strong>
おすぎ

IUPAC命名法ですね……懐かしい。病院薬剤師の実務ではま~ったく役に立ちません(笑)
私は構造式を見てエフェドリンとわかりましたが、IUPAC命名法はすっかり忘れてしまいました。どうしてもIUPAC名を知りたければ、添付文書を調べれば済むことです。
したがって、難易度は最高なのに重要度は最低という、最悪の評価となりました。
ちなみに、日医工(大日本住友製薬から移管)が販売している“ヱフェドリン「ナガヰ」”って商品名、時代がかてっていて面白いですね!

日医工『ヱフェドリン「ナガヰ」注射液40mg添付文書』より引用
https://www.info.pmda.go.jp/go/pack/2221400A2060_2_02

問13 アドレナリンの生合成

【解答】1 【科目】生物 【難易度】1/3 【重要度】1/3

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おすぎ

1~5はいずれもアミノ酸の構造式ですね。アドレナリンはチロシンから生合成されることを忘れていても、アドレナリンにベンゼン環が含まれていることを覚えていれば、1が正解だと導けます。
カテコールアミン3分画(アドレナリン・ノルアドレナリン・ドパミン)の尿検査は、褐色細胞腫の診断で行われます。内分泌内科のほうが馴染み深いでしょうが、循環器内科でも見かけます。
したがって、問題自体は難しくありません。循環器内科担当の薬剤師も知っておくとよいです。

『脳科学辞典』「カテコールアミン」より引用
https://bsd.neuroinf.jp/wiki/%E3%82%AB%E3%83%86%E3%82%B3%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%82%A2%E3%83%9F%E3%83%B3

問28 β遮断薬の薬理

【解答】5 【科目】薬理 【難易度】0/3 【重要性】3/3

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おすぎ

β遮断薬が降圧作用を示す理由は、心筋における心拍出量の減少と、副腎髄質におけるレニン分泌の抑制です。
例えば、原発性アルドステロン症の検査は、循環器内科でもよく行われます。β遮断薬の投与は偽陽性となるため、『わが国の原発性アルドステロン症の診療に関するコンセンサス・ステートメント』では、検査前2週間以上の休薬を推奨しています。私も病棟業務で、この休薬指示を注意してチェックしています。
レニン-アンジオテンシン-アルドステロン系は、高血圧や心不全の成因に深く関わっているので、多くの循環器用薬の作用点になっています。したがって、難易度は最低、重要性は最高です。この問題を間違えたら、循環器内科担当は失格(笑)

日本内分泌学会・日本内分泌外科学会『わが国の原発性アルドステロン症の診療に関するコンセンサス・ステートメント』より改変引用
https://minds.jcqhc.or.jp/docs/minds/Primary-aldosteronism/PA-full-text.pdf

問37 ノルアドレナリンの構造活性相関

【解答】3 【科目】薬理 【難易度】3/3 【重要性】2/3

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おすぎ

問7に続いてカテコールアミンの構造式(汗) 今度は構造活性相関ですね。
“アドレナリンα1、α2及びβ1受容体に作用し、β2受容体及びドパミンD1受容体にはほとんど作用しない”と聞いて、ノルアドレナリンと即答できれば、病院薬剤師としては及第点。構造式を知りたければ、添付文書を見れば済むことです。
したがって、難易度は最高で重要性も高いですが、良問とは思えません。
ちなみに、アルフレッサファーマ(第一三共から移管)が販売しているノルアドレナリンの商品名は、“ノルアドリナリン”です。

アルフレッサファーマ『ノルアドレナリン注1mg添付文書』より引用
https://www.info.pmda.go.jp/go/pack/2451401A1034_2_01/

問38 コレステロールの代謝

【解答】1 【科目】薬理 【難易度】2/3 【重要性】1/3

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おすぎ

脂質異常症は心筋梗塞・閉塞性動脈硬化症の原因となるので、循環器内科では重要です。いわゆる“悪玉コレステロール”と言えばLDL-Cが有名ですが、VLDL-Cを含むnon-HDL-Cの寄与も大きいです。『動脈硬化性疾患予防ガイドライン2017』でも管理目標値が設定されています。
この問題で、私は消去法を使ってしまいました(赤面) アトルバスタチンとクロフィブラートとイコサペント酸エチルとコレスチラミンは違うな……ニコモールって何だっけ??
私の施設ではニコモール(コレキサミン®が院内採用されていませんし、年間数百人の持参薬でも見かけません。問題としてはビミョーに思えます。

日経メディカル『疾患解説 for GP』「脂質異常症」より引用
https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/special/forgp/201806/540595.html

問56 ショックの定義

【解答】4 【科目】病態 【難易度】0/3 【重要性】1/3

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おすぎ

日本救急医学会の『医学用語解説集』では“生体に対する侵襲あるいは侵襲に対する生体反応の結果、重要臓器の血流が維持できなくなり、細胞の代謝障害や臓器障害が起こり、生命の危機にいたる急性の症候群”と定義されています。要するに“急激に発生する組織循環不全”です。
循環器内科の病棟ではショックに遭遇することがあります。看護師さんが大慌てでドクターコールし、救急カートから生理食塩液を取り出して全開投与します。急変時、薬剤師は役立たずで歯痒い……

問63 抗不整脈薬の機序

【解答】5 【科目】病態 【難易度】1/3 【重要性】1/3

<strong><span class="has-inline-color has-indigo-color">おすぎ</span></strong>
おすぎ

抗不整脈薬のVaughan Williams分類は、薬学生にとって基本中の基本ですね。循環器内科に日頃関わっていないと、分類の詳細を忘れがちで、薬剤師にとっては案外難しいかもしれません。
活動電位持続時間を短縮するのはⅠb群だけなので、メキシレチンが正解。ここでは詳しくは述べませんが、活動電位持続時間が短縮することで、心電図上はQT間隔が短縮します。それゆえ、心室性期外収縮によく処方されます。
活動電位持続時間は電気生理学的な指標であって、抗不整脈薬の機序を理解するには必須です。しかし、実臨床では心電図変化のほうが重要です。その意味で、重要性はあまり高くない問題でしょう。

日本循環器学会・日本不整脈心電学会『不整脈薬物治療ガイドライン2020年版』より引用
https://www.j-circ.or.jp/old/guideline/pdf/JCS2020_Ono.pdf

一般問題(薬学理論問題)

問113 コレステロールの代謝

【解答】2,5 【科目】生物 【難易度】3/3 【重要性】0/3

<strong><span class="has-inline-color has-indigo-color">おすぎ</span></strong>
おすぎ

問38でも述べたとおり、脂質異常症は循環器内科で治療対象ととなります。しかし……これはわからない(涙) メバロン酸経路でしたっけ? さすがにこのレベルまで生化学的な知識を持たなくても、病棟業務は務まります。要らない問題です(逆恨み)

日本薬学会『薬学用語解説』「イソプレノイド経路」より引用
https://www.pharm.or.jp/dictionary/wiki.cgi/wiki.cgi?%E3%82%A4%E3%82%BD%E3%83%97%E3%83%AC%E3%83%8E%E3%82%A4%E3%83%89%E7%B5%8C%E8%B7%AF

問163-164 心不全の病態・治療

問163

【解答】2,3 【科目】病態 【難易度】1/3 【重要性】3/3

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おすぎ

心不全は循環器内科で頻繁に遭遇する病態です。心不全療養指導士が今年から認定開始されたように、薬剤師にとっても療養指導は重要です。
リード文は慢性心不全の急性増悪を表しています。循環器内科担当なら見慣れた状況なので、解答は易しいです。心不全ステージやバイオマーカーについても、基本的な知識を身に付けておくべきです。

日本循環器学会・日本心不全学会『急性・慢性心不全診療ガイドライン2017年版』より引用
https://www.j-circ.or.jp/old/guideline/pdf/JCS2017_tsutsui_h.pdf
問164

【解答】2,5 【科目】薬理 【難易度】2/3 【重要性】3/3

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おすぎ

循環器内科担当の薬剤師は、心不全治療薬について深く理解しておく必要があります。ここでは詳しく述べませんが、心不全ステージ別に治療薬を導入していきます。また、慢性心不全の急性増悪では、収縮不全・拡張不全の違いでも治療薬の選択が異なります。
問題文には治療薬が明示されていないので、選択肢の「主な作用点と作用」から推測しなければなりません。1はジゴキシン、2はカルペリチド、3はコルホルシンダロパート、4はミルリノン、5はニトログリセリンなどです。あとは「主な細胞内の反応」と「前負荷及び後負荷に及ぼす影響」の正誤を判定しますが、やや難しいでしょう。
循環器内科担当の薬剤師ならば、リード文から拡張不全だと判断し、「治療薬の候補」は利尿薬・硝酸薬・hANP・カルシウム拮抗薬ではないかと予想できます。つまり、強心薬である1,3,4は誤で、2,5が正だと“治療薬だけで”解答できます。ドヤッ(笑)

日本循環器学会等『慢性心不全治療ガイドライン2010年版』より引用
https://www.j-circ.or.jp/old/guideline/pdf/JCS2010_matsuzaki_h.pdf

問187 褐色細胞腫の治療

【解答】5 【科目】病態 【難易度】1/3 【重要性】1/3

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おすぎ

褐色細胞腫ですね。問13でも述べたとおり、褐色細胞腫は二次性高血圧をもたらすため、循環器内科でスクリーニングされることがあります。
『褐色細胞腫・パラガングリオーマ診療ガイドライン2018』では、術前・周術期の降圧治療として“選択的α1遮断薬を第一選択薬とする。降圧不十分な場合、Ca拮抗薬を併用する”と推奨されています。循環器内科で馴染み深い『高血圧治療ガイドライン2019』でも、第一選択薬はα1遮断薬と明記されています。
“褐色細胞腫にはα1遮断薬”は試験のヤマなので、難易度は高くありません。また、褐色細胞腫は循環器内科ではレアなので、重要性も高くありません。
ちなみに、β遮断薬の単独投与は、カテコールアミンによるα作用が増強されるため禁忌です。

日本内科学会『褐色細胞腫・パラガングリオーマ診療ガイドライン2018』より改変引用
https://minds.jcqhc.or.jp/docs/gl_pdf/G0001079/4/Pheochromocytoma_paraganglioma.pdf

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